自治会新年会

私の住んでいる町は鶴寄町と書きますが、初めての人で、これを「つるよせ」と読む人は、まずいないでしょう。 ほとんどの人が、「つるぎまち」とか「つるよりまち」と読むようです。

初代自治会長のI氏の研究によれば、遥か昔、沼地であったこの地域一帯に鶴が生息していた歴史がある…とか言うことで、鶴寄という自治会名となったようです。

鶴とは目出度く、美しいイメージで音の響きもきれいで気に入っているのですが、読み辛いところが少しマイナスでしょうか。

これまでの新年会は、公民館代わりに使用させて頂いていた近くの施設の一室で行われていたのですが、昨年からは少しリッチに、外部で行うようになりました。

出席者が年々増えて手狭になったことと、婦人会をはじめ、お世話をする方々が何かと大変なことがきっかけとなったようです。

ちなみに、2回目の今年は砺波ロイヤルホテルで開かれました。 5年ほど前にオープンしたホテルで、砺波市から車で15分ほどの山ノ上に立っているとかで、上階からは砺波平野が一望できるようです。

今年の参加者は約50名で、小舞台や音響設備の整備されたブライダルホールを思わせるような素敵な会場でした。

鶴寄町の住人となって15年、未だもって、名前と声が一致しない人がほとんどと言った有様です。

新年会への出席は、実は今年が3回目なのです。 毎年のように出席の誘いをいただくのですが、業界関係との日程が重なり、スケジュールが合わない事などを理由に断ってばかりいました。

本当のところは、健常者に混じっての宴会は、会場での移動や飲食などを考えると気が重くなるばかりで、なかなか出席できずにいたのです。

無碍に断ってばかりもおれず、久しぶりに出席してみました。

どちらの町内でも同様と思われますが、我が町にも芸達者がそろっています。

まず司会者ですが、元民放局のアナウンサーをしていたという女性がいることが何よりも心強いですね。

総会であれ納涼祭であれ、自治会のイベントの司会は全て彼女にお任せです。 日課としている早朝散歩の途中で、彼女の爽やかな声に出合うことがあり、とても明るい気分にさせられます。

最初のマイクは、初春を祝って、おめでたい謡から。お一人ですが、なかなか、声が発っています。 後で、お寺さんの次男と聞いて納得しました。門前の小僧…ってところでしょうか。

次が日舞。数年前に引っ越して来られた奥様ですが、う〜ん、残念ながら踊りは耳に入ってきません。こういう時間が、一番辛いですね。

聞くところによれば、日舞に合わせて何枚かの素敵な着物を揃えておられるとか。なかなかの熱の入れようです。着物の柄などを少し案内していただければ、私も楽しめるのですが…

次に大正琴。婦人会の有志7・8名で数年前に結成されたグループです。

何かと忙しい奥様方なのですが、いったい、どうやって練習しているのでしょう。それなりに… 三味線をやっているためか、琴の柔かな響きが心地良く、出番を前にして緊張している心をほぐしてくれるようでした。

いよいよ、出番が回ってきました。勉強不足の一語です。吉田兄弟ならともかくも、下手な一丁三味線では盛り上がらないと言うものです。

役員のエスコートで小舞台に上ると、久しぶりの新年会出席に、皆さんのまなざしが、こちらに集中しているような錯覚さえ感じます。

そんな会場の感心と期待が微妙に伝わり、緊張も一段と高まって、指が思うように動かないのです。

出だしのミスが次のミスを誘い、終わってみれば、さんたんたる結果でした。 こきりこ節で、皆さんの温かい手拍子をいただき大変助かりました。

圧巻は何と言っても、自治会3役員によるどじょう救い。

民謡の安来節に乗せて、おかめとひょっとこ・女形に変装?の3名が一夜漬けとは思えぬ名演技を披露し、やんやの大喝采でした。

ところで、この「どじょう掬い」ですが、ただこっけいに踊れば良いというものではないようです。

ザルを持って、左右一足ごとに掬う。ザルの中の土をふるい落とす。 逃げたドジョウを手や足で捕まえる。ザルの中のどじょうを探す。捕まえたどじょうをビクに入れる。 顔に付いた泥を拭う。疲れた腰をたたく……といったような、ドジョウを捕まえてビクに入れるまでの一連のストーリーが組み込まれているとの話でした。

謡や大正琴は、私も楽しめるのですが、「踊り」は、どうにもいけません。 お隣さんの説明や会場の笑い、かけ声や拍手を手がかりに、精いっぱいいの想像をめぐらし、作り笑いをうかべる事で調子を合わせていました。

この後のカラオケも、大いに賑わっていました。

皆さんが歌を楽しんでいる間に御馳走をいただこうとしたのですが、緊張感の抜けない私は箸が進みません。 どれを口にしても、ほとんど味を感じない状態なのです。

盛り上がっている会場で、自分の場所だけが時間が止まっているかのようです。


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