暗譜について・その2

暗譜とは記憶することであり、それは個人差も大きいだろうし、その方法も様々あるだろう。

暗譜で大切なことは「曲を好きになる」、「テープやCDを何度も繰り返し聞く」の2点が上げられると思う。

カラオケで新しい流行歌などを歌うために楽譜を暗譜しようとする人はまずいないだろう。

自分の好きな歌や興味のある歌は何度か繰り返して聴いているうちに歌っている間に、メロディーや歌詞を自然に覚えるものだ。

嫌いな曲は聞こうともしないし覚えようと言う気持ちにもなれないが、自分好みの曲だと、気がつくといつのまにか鼻歌交じりで歌っているものである。

人は興味のないものは覚えられない。 何と楽しい曲なんだろう、何と美しいメロディーだろうか、なんと格好いい曲だろうか…と意識して興味を持つことが大切な気がする。

私の暗譜方法だが、記憶するには何と言っても耳から聞いて記憶することが一番だ。

短いフレーズで区切り、何度も繰り返して覚える。10回でだめなら20回、それでも無理なら50回。とにかく回数をこなすことだ。習うより慣れろ、である。

歌詞を覚えるためには、歌詞だけを繰り返し音読することが効果的である。

黙読ではなく、必ず大きな声で音読することで、その声が音として記憶されてくる。

もちろん、楽譜や歌詞を読んだり書き写すことも良い。 目からの記憶や手の記憶となるからだ。

私は「見る」事はできないが、パソコンで書いた楽譜が「目の記憶」「手の記憶」として、歌っている途中で思い出すことも時々ある。

今ひとつ付け加えるならば、「楽譜は絶対見ない」と決意することだ。  即ち「暗譜が出来るようになったら譜面を外そう…」などと思っている間は暗譜は不可能だ。

いつでも見れるという依存心がある内は覚えられないと思う。 早く暗譜するためにも積極的に譜面を外して歌うことが必要だと思う。

暗譜は記憶力も絡むため、その可否には個人差が大きく、合唱を楽しむ人の中にも暗譜に苦しむ人も多いようだ。

私のように、暗譜せざるを得ない場合はともかくも、暗譜は苦手だが楽譜を読むのは得意と言う人は暗譜に拘ることもないだろう。

楽譜には「オタマジャクシ」以外にもピアニシモやフォルテなどの記号や曲作りのための重要な情報も多い。  それらの情報を含め、楽譜の全てを暗譜することこそ不可能だ。

むしろ、暗譜で悩み苦しむ間に歌う方の練習をした方が良いかもしれない。 いや、明らかにそちらの方が重要である。

暗譜は意識して覚えると言うよりも、ふと気付いたときに自然にできていた、というのが理想と言えるのだろう。


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